鞆まちづくり会社

Tomo Community Renovation Firm

鞆まちづくり会社は、鞆に住み鞆を愛する市民達によって設立された「NPO鞆まちづくり工房」にルーツがあります。

鞆まちづくり工房が企画・実践する大きな2つの軸、"空き家紹介を行う「空き家バンク」"、"町並み活動の教育実践機会の場「鞆学校」"。

「空き家バンク」は鞆の浦への移住・定住・起業に興味のある人たちとのマッチングの場として、数々の古民家再生に寄与してきました。
「鞆学校」は、鞆の浦を調査研究してきた大学生との共同活動の場として、鞆の浦を舞台に学生と市民が一丸となって"楽しみながら学ぶ機会"をつくってきました。

鞆まちづくり会社の取組

鞆まちづくり会社の取組

その「鞆学校」に参加していた学生のひとりが設立したのが鞆まちづくり会社です。

鞆まちづくり会社代表は、いまから約20年前、鞆の浦の土木遺産調査を行うべく初めて鞆の浦に降り立ちました。彼の故郷は公団団地、生まれ育った原風景とは大きく異なる町並みですが、その景色は何故か懐かしく、そしてとても柔らかな印象を受けました。
「この町は、何か他のまちとは違う心地よさがある」、そう感じた彼は専門領域を土木遺産から都市デザインへ変え、大学院生となっても鞆の浦のまちづくり活動に通うことになります。

大学院卒業から約15年経ち、再び鞆の浦に戻ってきました。民間都市計画や不動産ファンド業界での経験を活かし、これからの鞆の浦には「事業としてのまちづくり」が必要であると考えたからです。

鞆まちづくり会社の設立にあたり、ひとつ大きな目標があります。
それは、「鞆の人たちがまち自体に出資し、投資家として町に関与していく」、「まちに利益がでれば、町の人たちが応分に利益を享受し、その代わり町の事業に対して責任を持っていく」そんな仕組みを実践したいということです。

鞆の町がこれまで培ってきた風景や町並み、そして人々の活動、これらは全て鞆の人たちの貴重な財産だと思っています。鞆まちづくり会社はそれを利用しているにすぎません。だからこそ、まちの人たちとともに収益事業を軌道に乗せ、その利益を配分しあうような形が、私たちの目指す事業にとって望ましいと考えているのです。

私たちの取り組みは、まだこれからも続きます。
鞆の浦の風景が活かされながら、町の取り組みが永続的に続いていくこと。そのために何ができるかを問い続け、少しずつですが、実践化できたらと思っています。

鞆まちづくりの今、
そしてこれから

鞆まちづくり会社設立から2年が経ちました。

文化庁による日本遺産選定やマスコミの皆さまに取り上げられる機会もあり、鞆の浦の知名度は着実に高まってきていると実感しています。新型コロナウィルス感染拡大によって、2020年以降は海外からの観光客数が大きく減少していますが、マイクロツーリズムの浸透によって広島県内からの宿泊客が増えるなど、新しい滞在の仕方を模索しながら、引き続き観光まちづくりの概念設計を深化させているところです。

 

2022年には、鞆の浦に滞在型ワークプレイスが誕生します。
鞆の浦観光といえば基本日帰り、短期滞在して雁木や常夜燈あたりを眺め、そして次の目的地へ去っていく団体バス、そのスタイルでは決して堪能することができない魅力が鞆に溢れていると私たちは確信しています。
鞆の滞在時間を延ばし、鞆に住まう人々と交流し、そこから新しい着想がうまれ、鞆の魅力が広がっていく。そういった機会の場を通じて、私たちは鞆の交流人口拡大に対して微力ながら寄与していきたいと思っています。
「鞆の浦でちょっと仕事してみる?」、「どうせならしばらく滞在してみようか?」、そんなきっかけとなる場が生まれてくれば、交易地としての歴史が紡いできた結節点としての鞆の役割が再興し、新たに成長していく。私たちはそう信じています。