鞆まちづくりの今
吉本家再生と働く場としての鞆の浦
そわか楼、鞆猫庵の宿泊施設運営に加えて、2022年半ばをめどに新たにワークプレイス運営事業に進出する予定です。築100年を超える住宅建築である吉本家を再生し、鞆の浦で暮らし・働き・交流する場をつくりたいと考えています。
鞆まちづくり工房が運営する「御舟宿いろは」は、宮崎監督が描いたイメージそのままに復元作業を進めており、こちらも2022年3月にリニューアルする予定です。リニューアル後は、より高質な宿泊体験をご提供できるように空間だけではなく、サービス内容も向上させていく予定です。
目下、鞆の浦には私たち以外にも多様な事業者の皆さまが宿泊事業や飲食、住宅改修などに取り組まれており、そこかしこで古民家改修が進んできています。もし、私たち(特に、鞆まちづくり工房)による古民家再生の取組が一つのきっかけとなったのだとしたら、これ以上の喜びはありません。
文化庁の「重要伝統的建造物群保存地区」に指定された鞆の浦のまち、今般その古民家群からなる町並みの美しさが認識され、その様式美を活かしながら永続的な町づくりに向けた機運が高まってきたと実感しています。
他方で、少子高齢化が急速に進み、街なかのそこかしこで空き家が増えてきています。
これからも鞆のまちを活かし、残し続けていくためには、単に事業としての古民家再生だけでは不十分である、そう実感することがあります。宿泊事業は他の事業に比して収益性が見込みやすい分、直接的にはまちの活性化につながりにくい側面があります。
私たちは、民間分野からまちづくりを担う存在として、鞆を活性化させ得る人財が集まるきっかけの場づくりが重要だと考えています。
外から鞆に来る人たち、鞆が好きな人たち、そして鞆で生まれ育った人たち。こういった人たちが一つの場にあつまり、滞在しながら一つの事業に携わり、そこから新しいクリエイティブが誕生していく。
私たちが目指す吉本家、それは鞆が培ってきた交易という“人と人との結節点”を現在に再興させることにあります。鞆が室町時代から持ち続けてきた結節点としての役割、それを21世紀にあう形で実現したいと考えています。
鞆の古民家再生、それは多様な立場の事業者や市民が、町に対する想いを体現する場として取り組まれている市民活動であると考えています。私たちも、その一翼を担う立場として、切磋琢磨しながら古民家再生に取り組んでいきます。